星形のネジを前にして「どうしよう…専用ドライバーがない!」と困ってしまうこと、意外とありますよね。
とくに急ぎのときや、家にある道具でなんとかしたい場面では、落ち着いて判断することが大切になります。
このガイドでは、身近な道具で代わりに回せるケースや、安全に作業するためのコツをやさしくまとめました。
女性の方でも扱いやすい方法ばかりなので、工具に慣れていない方でも安心して読み進めていただけます。
まずは、今の状況で「代用できるのか」「専用工具が必要なのか」を一緒に確認しながら、ムリなく安全に進めていきましょうね。
最初に確認!専用ドライバーなしでも対応できるかの判断ポイント

ネジの種類でわかる「代用できる/できない」チェックリスト
星形に見えるネジは、形によって代用できるものとできないものがあります。
六つの角がしっかりしているトルクスネジは、ぴったりした幅があれば代用できることがあります。
この“幅がぴったり合うかどうか”がとても重要で、少しでもずれていると滑りやすくなったり、ネジ山を傷つける原因になります。
トルクスネジは精密機器に使われることが多く、専用工具があるのが一番安心ですが、応急処置として代用したいときには見た目の判断が大きな手がかりになります。
一方で、内側に突出した形のE型は専用工具がほぼ必須になります。
E型は外側ではなく“内側が特殊な形状”になっているため、パッと見ただけでは代用できそうに見えても、実際にはほとんど噛み合いません。
見た目を軽くチェックするだけで、作業の可否がぐっと判断しやすくなります。
特に初心者さんほど、最初の見極めが後のトラブル防止につながるので、ゆっくり慎重に確認するのがおすすめです。
溝の深さ・固さから見る作業可否の目安
溝が深いネジは工具がしっかりかみ合いやすく、力が伝わりやすいため代用品でも回しやすいことがあります。
反対に、溝が浅かったり広がってしまっているネジは、工具が滑りやすく、少しの力でもネジ山をつぶしてしまうことがあります。
固くしまっているネジは、代用品では力が均等に伝わらず、かえってダメージを与えてしまう場合もあります。
そういったネジは“回せるかどうか”ではなく“今、回して大丈夫かどうか”の判断がとても大切になります。
少し触ってみて動きそうかどうかをチェックしてみましょう。
ほんの少しの遊びがあるネジなら代用が効く可能性が高く、まったく動かないネジは無理をせず別の方法を考えたほうが安心です。
触ると危険なネジの特徴(封印ネジ・保証対象など)
封印シールのあるネジや、開けると保証が無効になる部分には注意が必要です。
電化製品によっては「ここを開けると修理対象外になります」という表示が小さく書かれていることもあり、初心者さんは特に見落としやすいポイントです。
また、防水機能がある機器では、ネジを外すことでパッキンがずれたり、水に弱くなることもあります。
迷ったときは説明書やメーカーの案内を確認してみてください。
ネット上の分解レポートや公式サポートの説明が役に立つこともあります。
大切な家電ほど慎重に扱うのがおすすめです。
星形に見える「トルクスネジ」とは?使われる理由とよくある場所

ネジが星の形をしているのは、しっかり工具をかみ合わせるためです。
精密機器では特に採用されやすい形です。
星形に見える仕組みとトルクス形状の特徴
トルクスネジは六つの角が均等に並んだ、とても整った形をしています。
この規則正しい凹みのおかげで工具がしっかり噛み合い、力がムラなく伝わるようになっています。
一般的なプラスネジに比べて滑りにくく、カムアウトが起こりにくいのも大きな特徴です。
そのため、精密さが求められる作業や、一定以上のトルクをかけたい場面でも安心して使われます。
星のように見えるのは、六角の角度が均一に配置されているためで、工具が正しく入りやすい視認性の良さにもつながっています。
また、溝の深さと幅がしっかり設計されているため、長時間の作業でも負担が少なく安定した締め付けができるという利点もあります。
家庭用から工業用まで幅広く使われるのは、この扱いやすさと安全性の高さが理由です。
T型・E型の違いと役割
T型は、外側に六角のくぼみがあるもっとも一般的なタイプです。
工具がはまりやすく、さまざまな製品に採用されています。
力をかけても滑りにくく、精密作業でも安定しやすいのが魅力です。
一方、E型はT型とは反対で、六角が外側へ飛び出したような形をしています。
この特殊な形はトルクを強くかけたい場面や、しっかり固定する必要がある部品で採用されることが多いです。
ただしE型は構造上、専用のソケットでなければ噛み合わないため、代用がほとんど効きません。
ぱっと見では似ていても、用途や役割が大きく違うため、作業前に形を見分けることがとても重要です。
初心者さんでも、外側が凹んでいればT型、飛び出していればE型、と覚えておくと迷いにくくなります。
よく使われている製品例(ゲーム機・家電・PC・自転車など)
SwitchやPSシリーズのゲーム機の内部には、小型で精度の高いトルクスネジが多く使われています。
これは、強く締めすぎずにしっかり固定できるという特性が、精密部品との相性が良いためです。
パソコンでは、SSD・ヒートシンク・ファンなどの固定に採用されていることが多く、作業のしやすさから自作PCユーザーにもおなじみのネジです。
また、自転車のブレーキ周りや車の内装パーツなど、振動に強い固定が求められる場所でもよく使われます。
こうした機器は日常生活で頻繁に触れるものばかりなので、実はトルクスネジはとても身近な存在なんです。
専門的に見えるネジでも、慣れてくると用途や特徴がだんだん理解できて、扱うのが楽しくなりますよ。
専用工具がなくても試せる!代わりになる道具と使い方

手元に専用ドライバーがなくても、慌てなくて大丈夫です。
身近な道具で代用できる場合があります。
マイナスドライバーで合わせて回すテクニック
幅がぴったり合っている場合は、マイナスドライバーが代わりになります。
ネジの溝にドライバーの先端がしっかりフィットしているか、まずは軽く揺らしながら確認してみてください。
フィットしていれば、ガタつきが少なく、押し込むと溝に吸い付くような感覚があります。
その状態で、軽く押し込みながらゆっくり回すと滑りにくくなります。
特に最初のひとかけらの動きがとても大切で、ここを丁寧に行うことで作業がグッと安全になります。
また、ドライバーをまっすぐ保ち、力を均等にかけることで、ネジ山を傷めにくくなります。
さらに、力を入れる方向を一定に保ちながら回すと、細いネジでもスムーズに動きやすくなります。
逆に、幅がずれている場合は、少しの力でもネジ山をつぶしやすくなり、後でさらに外れにくくなることがあります。
幅が合わないと感じたときは無理をせず別の道具へ切り替えるのが安全です。
マイナスドライバーは応急処置として便利ですが、丁寧な扱いが成功のポイントになります。
10円玉などの硬貨で力を伝える方法
硬貨は意外と使いやすい代用品です。
しっかりした厚みがあるため、指先だけではうまく力が入らないような場面でも、安定して押し込みながら回すことができます。
特に10円玉は溝にフィットしやすい適度な厚みがあり、手元で扱いやすいので初心者さんにもおすすめです。
また、平らな面が広いため、力を均等に伝えやすく、ぐっと押し込みながら回すとしっかりトルクがかかるのも魅力です。
角度を少し変えるだけで噛み合うポイントが見つかることもあるので、ゆっくり左右に揺らしながらフィットする位置を探してみてください。
さらに、コインを布で包むと滑りにくくなるので、力が入りやすくなるというメリットもあります。
ただし、表面に細かい傷がつくことがあるため、なるべく傷ついても困らない硬貨を使うと安心です。
記念硬貨などの大切なコインは避けて、普段使いの硬貨を選ぶようにしましょう。
あまりに固いネジの場合は、無理に力を加えるとコインの縁が変形したり滑ったりする可能性があるため、そのときは別の代用品に切り替える判断も大切です。
ピンセット・ペンチでつまんで回す応急処置
ネジの頭が少し出ている場合は、ピンセットやラジオペンチでつまんで回す方法があります。
この方法は、細かい作業が必要なときにとても便利ですが、そのぶん慎重さも求められます。
しっかりつかめる角度を探しながら、ゆっくり丁寧に力をかけるのがおすすめです。
強くはさみすぎるとネジ頭がつぶれてしまったり、工具の跡が残ることがあるため、少しずつ調整しながら扱いましょう。
手元が滑りやすいと感じたときは、指先にグリップ力のある手袋を使うと安定します。
照明を明るくすると影ができにくく、ネジの向きが分かりやすくなるので作業がよりしやすくなります。
慣れないうちは焦らず、ネジの位置を何度か確認しながら少しずつ回すと安心です。
六角レンチが使える“かなり限られたケース”
六角レンチの角が偶然ぴったり合う形のときだけ代用できます。
これはめったに起こらないケースですが、形が似ているネジであれば応急処置として使えることがあります。
ただし、六角レンチは本来トルクス用ではないため、溝に完全にはフィットしません。
そのため、無理に力を加えるとネジ山を傷つけてしまう可能性があります。
もし試す場合は、溝にレンチを軽く押し当てながら、少しだけ角度を調整してみてフィットする位置を探してみてください。
フィットした感覚がなければ、すぐに別の方法へ切り替えるのが安全です。
代用品の中でも特にレアなケースなので、「使えたらラッキー」くらいの気持ちで試すとよいでしょう。
ボールペンや薄い金属板など意外な代用品
ボールペンの先がしっかりしていれば、溝に合わせて回せることがあります。
とくに金属製のペン先は強度があるため、軽いネジなら十分回せることがあります。
ただし、ペン先が樹脂製の場合は力を加えすぎると折れたり変形することがあります。
薄い金属プレートも、幅がぴったりなら応急処置として使えます。
たとえば缶詰のフタの金属片や、カードの金属パーツなど、意外と身近に代用できる素材は多いものです。
どちらの道具も、まずは溝に軽く差し込んで、左右にわずかに動かしながらフィットする位置を探しましょう。
無理をすると滑りやすいので慎重に試してください。
角度が合った瞬間に“カチッ”と安定する感覚があるので、それを目安に回すとうまくいきやすいです。
避けたほうがいい道具
プラスドライバーは形がまったく違うため、代用には向きません。
星形の溝に対して、プラスドライバーの先端は直線的に接触しないため、力を入れても噛み合わず空回りしやすくなります。
無理に使うとネジ山を壊す原因になるので注意しましょう。
プラスドライバーを使ってしまうと、ネジの形が削れてしまい、専用工具でも外れにくくなる悪循環につながります。
また、工具が滑って手を傷つける可能性もあるため、安全面から見てもおすすめできません。
どうしても代用品を試す場合は、プラスドライバー以外の道具を優先し、安全に作業できる方法を選ぶことが大切です。
代用するときの注意点|ネジを壊さず安全に外すコツ

代用するときほど、優しく丁寧な操作が大切になります。
サイズが合っているかの見極め方
溝にぴったりハマる感覚があるかどうかを確認しましょう。
工具を当てたときに、カチッと吸い付くようなフィット感があれば安心して作業できます。
逆に、ほんの少しでも左右にガタついたり、押し込んだときに沈み込むような不安定さがある場合は注意が必要です。
そのまま無理に力を入れてしまうと、ネジ山が削れてしまって後から専用工具を使っても外れなくなることがあります。
最初の“フィットする感覚”を大切にしながら、確信が持てないときは別の道具や別の角度を試すなど、ゆっくり慎重に進めてみてください。
ネジは一度つぶしてしまうと元に戻すことが難しいため、最初の判断がとても大切になります。
滑りを防ぐ方法
輪ゴムをネジの上にかぶせてから回すと摩擦が増え、工具がしっかり噛み合いやすくなります。
とくに滑りやすいネジや、少し山が削れてしまったネジに効果的です。
薄手の布を使う場合は、厚すぎると逆に噛み合わなくなるため、やわらかくて密着しやすい素材を選ぶのがおすすめです。
さらに、工具を軽くトントンと叩いて馴染ませる方法は、溝に工具をしっかり押し込むきっかけを作るのに役立ちます。
強く叩く必要はなく、あくまで“軽いタップ”程度で十分効果があります。
このひと手間で作業が楽になることが多いので、試してみてくださいね。
固くて動かない時の“ひと工夫”
固くてまったく動かないネジは、少し押し込みながら回すだけで突然弛み始めることがあります。
これはネジと工具がしっかり噛み合い、トルクが正しく伝わるからです。
また、いったん逆方向に軽く動かしてから回すと、内部の引っかかりが取れて緩むきっかけになることもあります。
とくに古いネジや湿気の多い環境で使われていたネジでは、この“小さな逆回し”が大きな助けになることがあります。
焦って力任せに回してしまうとネジ山をつぶすこともあるため、ゆっくりと丁寧に試していくのが安心です。
潤滑スプレーを使うタイミングと注意
どうしても動かないときは、潤滑スプレーがとても頼りになります。
溝に極少量を吹きかけることで、サビや固着がほぐれて動きやすくなる場合があります。
ただし、使える場所と使えない場所があるため注意が必要です。
電子機器や精密機械では、スプレーが内部に入り込むと故障の原因になることがあるため、使用前に必ず対象物の材質や構造を確認してください。
どうしても心配な場合は、綿棒に少量つけて必要な部分だけに塗布するなど、直接吹きかけない方法もあります。
“使い方を間違えないこと”が、作業を成功させるポイントになります。
E型トルクスに代用品が通用しない理由
E型は内側が独特な形をしているため、どんな代用品でもしっかり噛み合うことがありません。
外側に凹みがあるT型と違い、E型は外側が六角形として飛び出しているため、構造そのものがまったく別物です。
ぱっと見では似て見える工具でも、実際には力が伝わらず滑りやすく、ネジや工具を壊してしまうリスクが非常に高くなります。
代用品で無理に回そうとすると、たとえ少し動いたとしてもネジの角を削ってしまい、結果として本来の工具でも外れなくなることがあります。
このタイプだけは専用工具を使うのが安全です。
星形ネジが使われやすい“意外なシーン”

日常のさまざまな場所で星形ネジが活躍しています。
ゲーム機内部(Switch・PSシリーズ)
繊細な作業が必要なため、専用工具で外すのが基本です。
ゲーム機は内部パーツが細かく密集しており、ほんの少しの力加減の違いが故障につながることもあります。
特にSwitchやPSシリーズは、排熱構造や基盤まわりが複雑なため、ネジを外す位置を間違えるだけでも内部のパーツに負荷がかかることがあります。
星形ネジが採用されているのは、分解時の滑りを最小限に抑え、必要な場所だけを確実に固定するためです。
専用工具を使うことで、力がムラなく伝わり、ネジが突然浮いたり滑ったりするリスクを減らせます。
内部の部品を傷つけないためにも慎重に扱いましょう。
また、分解後は静電気がパーツの故障を引き起こすこともあるため、手袋や静電気対策をしておくと安心です。
パソコンのパーツ交換(SSD・ファン清掃など)
PC内部の固定にもトルクスネジが登場します。
SSDやヒートシンクなどは小さな力でしっかり固定したい場面が多く、星形の形状がその精度を高めてくれます。
とくにノートパソコンは薄型化が進んでいるため、耐久性と軽さを両立させる目的でもトルクスネジが活用されています。
パーツ交換のときに必要になることが多いため、ひとつ専用の工具セットを持っておくと作業がとてもスムーズです。
ファンの清掃やメモリの取り付けなど、定期的にメンテナンスする人には特に役立ちます。
また、精密部分が多いため、無理な力を入れず、ゆっくり回すことを心がけると安全です。
車・自転車の内装パーツ
力をしっかり伝える必要がある場面でよく使われています。
車の内装やステアリングまわり、自転車のブレーキ・ギア周辺など、振動が多い部分ほどトルクスネジが採用される傾向があります。
これは、強い力をかけても滑りにくく、締め付け過ぎや緩みを防ぎやすいという特性があるためです。
外す際には強めのトルクが必要なこともあり、代用品ではかえってネジを壊してしまうことがあります。
そのため、車や自転車の作業では専用工具の使用がほぼ必須といえます。
また、道路の振動や負荷に耐える設計になっているため、ネジが固く締まっている場合も多く、潤滑剤を併用すると作業がしやすくなります。
精密機器にトルクスが採用される理由
滑りにくく、高い精度で固定できるため採用されています。
星形の形状は、工具とネジが触れる面積が広くなるので、わずかな力でもしっかりトルクが伝わります。
そのため、カムアウト(工具が浮き上がって抜けてしまう現象)が起こりにくく、内部パーツを守りながら作業できるのが大きなメリットです。
また、精密機器は小さな部品が多く、ほんの少しのズレでも故障につながる繊細な構造です。
トルクスネジなら滑らず正確に固定できるため、パーツを安定した状態で保てます。
医療機器や測定器など、特に安全性が求められる分野では欠かせない存在となっています。
さらに、メーカー側が“分解されにくい構造”にしたい場合にも採用されることが多く、誤った分解や事故を防ぐ役割も担っています。
ユーザーにとってもメーカーにとっても、信頼性の高い固定方法として重宝されているのです。
よくある失敗とその回避方法

丁寧に作業することで、失敗はぐっと減らせます。
ネジ山がつぶれる原因と防ぎ方
ネジ山がつぶれてしまう一番の原因は、サイズの合わない工具を使ってしまうことです。
ほんの少しのズレでも力が一点に集中し、ネジの溝が削れてしまうことがあります。
作業前に、工具を軽く押し当てて“カチッ”と吸い付くような感覚があるかどうかを確かめると失敗を防ぎやすくなります。
また、上からしっかり押し込みながら回すと力が均一に伝わり、ネジ山が傷つきにくくなるのもポイントです。
もし少しでも滑る感覚があれば、そのまま続けるのは危険です。
一度工具を外して角度を微調整したり、輪ゴムを使って摩擦を増やすなどの工夫を取り入れてみましょう。
ネジ山を守ることができれば、作業の成功率がぐっと上がります。
工具が滑るときに見直すポイント
工具が滑る原因の多くは、角度がわずかにずれていることです。
ネジに対して工具がまっすぐ当たっているか、横からよく見て確認してみましょう。
また、手汗や乾燥でグリップ力が落ちることもあるので、軽く布を巻いたり薄手の手袋をつけると安定しやすくなります。
照明を明るくして影を減らすと、ネジの溝が見えやすくなり、作業の精度が上がります。
少しの工夫で滑りにくくなるため、焦らず丁寧に調整してみてください。
無理に回してはいけないNGパターン
固いネジを力任せに回そうとすると、ネジ山が一気につぶれてしまうことがあります。
工具が外れた反動で手をぶつけてしまったり、周囲の部品を傷つけてしまう危険もあります。
動きが悪いと感じたときは、まず逆方向に少しだけ回してみて“引っかかり”をほぐすとスムーズに回ることがあります。
また、潤滑剤をほんの少量使うことで固着がほぐれる場合もありますが、電子機器では内部に液体が入らないように必ず注意してください。
とにかく“無理をしないこと”が、安全に外すための一番の近道です。
ネジの種類ごとに見る「代用できる・できない」一覧

ネジごとに特徴があり、代用しやすいもの・専用工具が必須のものがはっきり分かれます。
作業前に種類を知っておくことで、失敗やケガのリスクを大きく減らせます。
丁寧に見比べながら判断してみてくださいね。
T型トルクス → 条件次第で代用可能
T型はもっとも一般的な星形ネジで、凹んだ形状になっています。
溝が深く、幅が合えば代用できることがあります。
ただし精密機器では小さな誤差でもネジ山を傷つけやすいため、可能であれば専用ドライバーを使うのがおすすめです。
E型トルクス → 代用不可
E型は外側が六角形に飛び出しているタイプです。
構造的に代用がまったく効かず、専用ソケット以外では噛み合いません。
無理に作業するとネジが欠けたり、工具がすべって危険です。
車や機械の内部にも多く使われるため、必ず正しい工具を使いましょう。
三角ネジ → 条件つきで代用可
三角形の溝を持つネジで、玩具や簡単な家電に見られます。
幅が近い薄い金属片などで代用できる場合がありますが、しっかり固定されているネジでは力が足りず回せないこともあります。
壊れやすい素材が使われている場合も多いため、慎重に扱うのがポイントです。
Y字ネジ → ゲーム機でよく使用されるタイプ
任天堂系のゲーム機などで採用されているY字形状のネジです。
形状が特殊なため、代用できる場面は限られます。
どうしても作業が必要なときは、専用ドライバーを使うのがもっとも安全で確実です。
専用トルクスドライバーを持つメリット
代用品が使える場合もありますが、専用工具があると作業の正確さ・安全性が大きく向上します。
星形ネジを扱う機会がある方は、ひとつ持っておくと安心です。
精度・安全性の高さと代用品との違い
専用ドライバーはネジにぴったり合うように設計されており、工具がすべりにくいためネジ山を傷つけにくい仕様です。
そのため、固く締まったネジでも必要な力が均等に伝わり、驚くほど安定して外せます。
代用品ではどうしても角度がブレたり、力が一部分に集中しやすく、ネジを削ってしまうリスクが高くなります。
専用工具は“正しく噛み合う安心感”があり、作業中のストレスが少ないのも大きな魅力です。
繰り返し使うほど操作の違いが実感でき、仕上がりの美しさや安全性にも差が出てきます。
100均で買えるもの・専門店で買うものの違い
軽いメンテナンスや一度きりの使用なら、100均のドライバーセットでも十分役立ちます。
最近はサイズ展開も豊富で、ちょっとした家電のネジ外しに使えるものも増えています。
ただし、精密機器や固く締まったネジには負荷が大きく、先端が削れたりすべったりしやすいことがあります。
専門メーカーの工具なら、素材の硬さや精度が高く、長時間使っても劣化しにくいのがメリットです。
作業効率も上がり、結果的に時間も手間も節約できます。
頻繁に使う予定がある方や、大切な家電・PCまわりを扱う方は、専門メーカーのものをひとつ持っておくと安心です。
“必要なときに確実に使える”という信頼感は、価格以上の価値を感じさせてくれます。
用途別のおすすめセット
家電向けなら、T6〜T10の基本的なサイズがそろったセットが使いやすく、日常的なメンテナンスにも幅広く対応できます。
パソコンやゲーム機などの精密作業では、小さなサイズがしっかりそろった精密ドライバーセットが活躍します。
先端の形状が正確なものほどネジを傷つけにくく、内部パーツに触れるリスクも減ります。
車やバイク、自転車など大きめのトルクが必要な場面では、トルクスソケットが入ったセットが不可欠です。
振動や負荷の大きいパーツが多いため、しっかり固定できる専用工具があると作業が格段に楽になります。
用途に合ったセットを選ぶことで、作業効率も安全性も大きく向上します。
“これさえあれば大丈夫”と思える一本があると、作業への自信にもつながります。
作業後に気をつけたいネジの保管・戻し方
外したネジを丁寧に扱うことで、トラブルなく元に戻せます。
特に小さなネジは紛失しやすいため注意が必要です。
小さなネジをなくさないための簡単トレー術
紙皿や浅めの小皿にまとめておくと転がりにくくなります。
分類したいときは小さな付箋にメモを書いて一緒に置いておくと、戻す場所がわかりやすくなります。
さらに、マグネット付きトレーを使うと作業中にうっかり手が触れてもネジが飛び散りにくくなり、安心感がぐっと増します。
ネジの大きさごとに仕切りを作っておくと、組み立ての順番が混乱しにくく、後で戻しやすくなるというメリットもあります。
作業スペースに少し余裕を持たせて、ネジの向きを揃えて置いておくだけでも迷う時間が減り、スムーズに作業が進みます。
戻すときに山を壊さない締め方のコツ
ネジは最初に“軽く逆回し”して溝が合う感覚を確かめてから締めましょう。
まっすぐ入ったら、ゆっくり軽く締めるだけで十分です。
強く締めすぎると次に外すとき大変になります。
また、途中で違和感があればすぐに止めて角度を確認すると、ネジ山の損傷を防げます。
細いネジほどデリケートなので、力をかけすぎないように“そっと添えるように回す”イメージが安全です。
周囲の部品に負荷がかからないよう、指先で小さく調整しながら作業すると安心して締められます。
締めすぎ防止の感覚的な目安
指で軽く止まる位置まで締めて、最後にほんの少しだけ力を加えるのがベストです。
「固くなるまで回す」のではなく、「止まったところでやさしく仕上げる」イメージが安心です。
さらに、精密機器の場合は“少しゆるいかな?”と感じる程度でも十分に固定されることがあります。
力を入れすぎると内部パーツに負荷がかかるため、慣れないうちは特に慎重に仕上げるのがおすすめです。
ネジを戻すたびに感触を覚えていくことで、自然とちょうどいい締め具合がわかるようになります。
まとめ|代用はあくまで応急処置。迷ったら専用工具が安心
星形ネジは扱いやすい反面、代用しにくい種類もあります。
無理に外そうとすると、ネジや機器を傷つけてしまうこともあります。
応急処置として代用品を使うのは便利ですが、頻繁に作業する方や大切な機器を扱う場合は専用ドライバーを使うのが一番安全です。
ゆっくり丁寧に、無理をせず進めていけば大丈夫ですよ。